こんにちは!

豊中補聴器センターの森です。

 

最近TVや新聞などで、集音器の広告を目にすることが増えてきたように感じます。

 

お客様からも

・集音器は安い値段で販売しているのに補聴器はなぜ高いの?

・テレビ通販などで売っている集音器と補聴器は何が違うの?

 

といったご質問を定期的にいただいております。

そこで、今回は「補聴器と集音器の違い」を様々な面から比較し解説いたします!

 

 

補聴器・集音器比較表

すぐに補聴器と集音器の違いを知りたい! という方はこちらの表をご覧ください。

 

補聴器 集音器
機器としての位置づけ   管理医療機器

・販売には厚生労働省令で定められた届け出が必要

・聴力低下のある方のみ使用できる

音響機器

・販売に制限がなく、家電量販店や通信販売で手軽に購入できる

・聴力に関わらず誰でも購入・使用できる

 期待できる効果  ・難聴の種類・程度に応じて調整し、正しい聞こえの状態にする

・耳鳴りを軽減させる

(耳鳴り治療には医師の指導が必用)

・耳に入る音を大きくする
調整方法 ・認定補聴器技能者が聴力と使用者の要望に沿って繰り返し調整 ・なし、または簡易的なボリュームや音質調整機能

・調整は自分自身で行う

販売方法 ・補聴器専門店にて対面販売が基本である為、来店が必要になる事が多い

・聞こえに満足するまで繰り返し調整の必要があり、効果を実感できるまで練習期間が必要

・家電量販店や通信販売で気軽に購入する事ができる反面、聴力に合わせた調整ができない。

・既製品の老眼鏡に近いイメージ

価格 ・低価格品は50,000円~

・普及価格帯は100,000円~200,000円

・300,000円以上の機種も少なくない

・数千円~50,000円程度で購入が可能

 

それでは、各項目を詳しく解説していきます。

 

 

補聴器と集音器の違いを様々な面から比較

「医療機器」としての性能の違い

補聴器は補聴器は厚生労働省から正式な認可を得た「管理医療機器」です。効果や安全性、対面販売義務など厳しい基準のもと、その品質が管理されています。

(販売には各都道府県知事に、厚生労働省令で定められた届出の提出が必要)

 

また補聴器には、「大きな音を抑制したり大きすぎる音を制限する機能」の搭載が義務付けられています。

そのため補聴器の使用時に強大な音(爆発音や工事現場など)が発生しても、必要以上に増幅されないように安全装置が作動します。

 

(補聴器に必ず同封されている、管理医療機器の添付文書の一例)

 

一方、集音器は医療機器ではありません。効果や安全性、販売方法の規制などが存在しませんので、販売者が「相手がどのような聞こえなのか」を知らなくても販売できてしまいます。

 

また出力制限装置が搭載されていない集音器で大きな音を聞いた場合、耳を傷める危険があります。

例:食器の金属音や風船の割れる音、ドアが勢いよく閉まる音を増幅してしまい、非常に強大な音で聞こえてしまう。補聴器の様に出力制限機能で防ぐことができない。

 

 

「難聴者」「耳鳴り」を想定した商品であるかの違い

補聴器は大前提として「聴力が低下した人が使用する機器」です。難聴者の聞こえの傾向や特徴をもとに開発されています。


(添付文書にも、難聴者が使用して効果を得る物という記載があります)

 

これに対して集音器は医療機器の規制がありませんので、難聴者の聞こえを想定した機能を搭載する必要がありません。

 

また、音響機器として正常な耳の方の使用を想定した物もあり、「難聴者が使用して効果を得る」事が叶えられるかどうかは、かなり不明確であると言えます。

 

(ある通販型集音器の取扱説明書。使用による身体の異変についてサポートされていないことが分かります)

 

 

調整方法の違い

補聴器は、聴力測定後難聴者の聴力に応じて細かく調整することができます。

 

「どの周波数の音が聞こえにくいのか」

「小さな音や大きな音をどのバランスで聞こえると快適であるか」

認定補聴器技能者がお客様の聞き心地を都度確認し、繰り返し調整することで理想の聞こえ方に近づけることができます。

 

(聴力測定の様子:正しい調整を行う為に聴力測定は欠かせません)

 

これに対して集音器は、細かな調整ができないものがほとんどです。簡易的に大・中・小の音量調節ができたとしても、聴力を測定せずに良い聴こえを手に入れる事は到底不可能です。

 

 

販売方法の違い

補聴器は、「買って終わり」ではなく「お渡ししてからがスタート」です。

装着後、快適に使用できるよう繰り返し調整を行う必要がある為、補聴器専門店にて対面での販売が基本になります。

購入後もメンテナンスを補聴器専門店で行ったり、聴力が変化した場合の再調整を、認定補聴器技能者が聴力を把握した上で行います。

 

一方で対面販売の必要がない、通信販売で購入可能な既製タイプの補聴器も存在します。

ただしそのような機種は、補聴器といえど調整できる箇所がほとんどないと言えます。

 

(お客様のご要望を細かくお聞きして補聴器調整を行っております)

 

集音器は、通信販売や家電量販店で販売していることが多いので、手軽に購入できる点はメリットと言えます。

しかし、取扱方法が分からなかったり集音器が耳に合ってないと思われても、調整はおろか出し入れの練習さえサポートできないと考えるべきです。

 

 

価格面での違い

補聴器の普及価格帯は、1台当たり100,000円~200,000円と決して安くはありません。

補聴器が高価な理由はいくつかありますが、主に「調整機能と快適性能を搭載した小型コンピューターが小さな本体に収められている事」と、「購入後の調整やメンテナンスなどを生涯にわたってサポートするサービスが含まれている事」です。

 

なお、1台7万円程度の価格で、基本的な機能を持ち調整が可能な補聴器もあります。

「補聴器は高い」と捉われずに、予算に応じた機種選びを専門店で相談されることがお勧めです。

 

(日本補聴器工業会による資料:JAPANTRAK2018より引用)

 

集音器の価格も様々です。

 

インターネット検索でも数千円から、高価なものは5万円以上するものまであります。

医療機器ではありませんので簡単に購入ができますが、「聴力に応じた細かな調整」「満足に使用できるまでのサポート」は前述のとおり期待できません。

「視力検査せずに雑貨店で購入できる既製品の老眼鏡」のようなイメージが近いかもしれませんね。

 

 

まとめ

これまでの解説で、難聴者にとっては集音器よりも補聴器がより効果的である事がお判りいただけたのではないでしょうか。

 

確かに、対面販売が基本である事や、調整に一定期間を要する事は一見手間がかかるように思われるかもしれません。

 

しかし、難聴は「気づかないうちに少しずつ聞こえにくい事に慣れてしまう」事が少なくありません。

スポーツジムに通い始めて急激に痩せる事が難しい事と同様、焦らずじっくり調整する事で、無理なく快適な状態に近づける事ができます。

 

きこえに不安を感じたらまずはご相談くださいませ。

 

この記事を書いた人

森裕之

森 裕之

  • 所属:豊中補聴器センター 店長
  • 出身:兵庫県
  • 経歴:補聴器業界22年勤務
  • 趣味:バイク・ギター・旅行(学生時代、バックパッカーとしてアフリカへの演奏旅行、キリマンジャロ登頂を経験)
  • 大切にしていること:私のモットーは「共に楽しむ」です。悩みや問題は人と共有し、協力し合うことで立ち向かっていくことができ、そして共に乗り越えた喜びは一人のときよりも何倍も大きくなります。お客様と共に聴こえのお悩みをひとつひとつ解決し、そしてその喜びを共有させてください。
  • 認定補聴器技能者登録番号:第23-4528号

 

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