当店では補聴器ご購入の際の機種選定やフィッティング(調整)をするために、聴力測定が必要となります。
聴力測定は、先ずヘッドフォンから音色や大きさの異なる音を出し、どのくらい聴こえているかをチェックします。(気導値測定)高音域が低下しているのか、あるいは低音域が低下しているのか、またそれがどの程度なのかを掌握します。
さらに、「骨導値測定」と呼ばれる、耳の後ろの少し出っ張っている部分にレシーバーを当て、振動での測定も行います。これにより伝音性難聴・感音性難聴・混合性難聴などがわかります。
聴力測定について
当店での聴力測定について
オージオメータでの聴力測定の流れ
聴力測定はオージオメータという機器を使って行います。
まず気導値の測定を行います。
ヘッドホンを付けていただき、オージオメータから「ピーピー」という断続音を流します。小さい音から少しずつ音量を上げてゆき、ぎりぎり聴こえたところでボタンを押していただきます。
測定は最初に1000Hzを測定し、2000Hz、3000Hz、4000Hz、8000Hzと順次、高音域側を測定します。
その後、確認のためもう一度1000Hzを測定し、今度は500Hz、250Hz、125Hzと低音域側を測定します。
次に、耳の後ろにレシーバーを当て、骨導値の測定を行います。様々な音域でチェックします。
※ 測定の際、ピアスやメガネは外していただきます。
※ 当店で行う聴力測定は、補聴器の選定・調整を目的に実施しており、耳鼻科における難聴の原因究明や治療を目的とした聴力検査ではありません。
オージオメータ
ワンポイントアドバイス
補聴器は、難聴の性質・程度・難聴の種類(伝音性・感音性・混合性)によってお勧めするメーカー・機種・タイプなどが異なってきます。なお、軽度難聴の方が高度・重度難聴用を対象とした補聴器を着けることは望ましくありません。
聴力測定の結果(オージオグラム)の見方
赤の印が右側、青の印が左側の耳を表します。
表の下方にある横軸の目盛り(125・250・500・・・)はヘルツ(Hz)と言い、音色の低さ・高さを表します。一番左側の125Hzが最も低い音で、右側に移動するほど高い音になり、一番右端の8,000Hz(8KHz)が最も高い音です。ちょうどピアノの鍵盤を思い浮かべていただければイメージしやすいと思います。
表の左側にある縦軸の目盛りは音の大きさを表します。0が20歳の方の正常な耳で聞き取りのできるギリギリの大きさです。数字が大きくなるほど、聴こえが悪いという意味になります。
例に挙げたオージオグラムでは低音域に比べて高音域の方が聴こえづらいということを示しています。
1000Hzより低音域側で音量感を95パーセント感じ、逆に500Hzより高音域側で言葉の明瞭性を95パーセント感じると言われています。
もう少し細かくみましょう。
2000Hz周辺は有声子音(が・ば・ざ・・・)、4000Hz周辺は無声子音(さ・か・た・・・)の聞き取りに関与します。
例えば、4000Hzが低下すると「佐藤(さとう)さん」と「加藤(かとう)さん」などの聞き間違いが出やすくなります。
例のオージオグラムは、左右ほぼ同レベルで低音より高音が落ちている事例です。
低音域は音量感を司ると考えれば、音が聴こえる割に内容がわかりにくいという状態が理解できると思います。
※ 骨導値()については専門的になりますので、割愛します。興味のある方は、ご来店時にお問合せください。医療法に抵触しない(診断にあたらない)範囲内で質問にお答えいたします。
測定した値の全てが、表の左側の0~25ないし30dBHLの範囲に入っていると日常生活に困らないとされています。
25~50dBHL | 軽度難聴 | ささやく声など周辺がにぎやかだと聞きつらい |
50~70dBHL | 中度難聴 | 1対1の対面でなんとか会話ができる |
70~90dBHL | 高度難聴 | 近距離で非常に大きな声でないと会話ができない |
90dBHL以上 | 重度難聴 | 近くでのクラクションや飛行機の離着陸音がかろうじて知覚できる |
ワンポイントアドバイス
補聴器メーカーのカタログには軽中度用や中高度用などが記載されていますので参考にしてください。
言葉の測定(語音弁別能測定)
認定補聴器専門店では上の表のような定められた言葉を、聴力に対して一定のルールで、CD音源を用いてアナウンサーが順番に読み上げていきます。聞き間違いがないかの測定をします。これは装着後の補聴器の効果をある程度推測できるものとなります。丁度良い大きさで読み上げていても、間違いが多いと補聴器での言葉の聞き取りも難しいということを意味します。
2音節の言葉の測定
ソバ・ウシ・スズ・ニジ・・・・というような単語を使って測定をしてみると、具体的な聞き取りの状態がとてもわかりやすいです。充分に聞き取りやすい音量で測定した場合でも、似た単語に聞き間違うだけでなく、全く似ていない単語に聞き間違うケースもよくあることです。
補聴器の装用当初は間違いが多くあった方でも、半年後には正答率が上がるという傾向があります。音がきっちりと脳に伝わることによって、分析する力が付くと考えられますが、個人差が大きく、難聴の原因となる部位や性質により、必ず上がるという保証は出来ません。残念ながら補聴器の効用をうたうことはできません。
ワンポイントアドバイス
言葉の測定で間違いが少ないと補聴器の効果は比較的高いと言えます。
ワンポイントアドバイス
一般的に難聴になると、「小さく音を聞いているため聞き取りにくい、だから音を大きくする装置(補聴器)でボリュームを上げれば全て問題ない」と思われがちです。ところが、ご本人がちょうど良いと感じる大きさのボリュームに調整しても言葉がはっきりしないことがあるということです。